東証一部と二部における条件の違い

テレビのニュースで日々流される株価情報は、「東証一部(東京証券取引所一部上場銘柄)」のものです。
東証一部というのは、一部の条件をクリアして上場した企業のことを指します。実は、一部の他に「東証二部」というものがあります。
一部と二部ではかかるコストに違いがありますが、根本的に違うのは「上場基準(審査基準)」です。

なお、一部の基準をクリアして一部に加わったとしても、ずっと一部でいられるわけではありません。
基準を満たすことができなくなった場合は二部に降格させられます。
現実に、一部にいた有名な大手企業が二部に降格させられたことが何度もあります。

二部から一部へ

一部も二部も上場する際には、株主数や株式数、時価総額などの審査に通らなければなりません。当然、一部より二部の方が基準が緩くなっています。通常は、東証二部に上場した後、東証一部へ上場します。ただ、一部の上場基準を維持することは大変なため、一部の基準をクリアできても、あえて二部のままでいる企業もあります。

なお、最初から一部上場を申請することも可能ですが、審査基準が二部から上がる時よりも厳しくなるため、実際に行う企業はありません。

審査基準の違い

一部と二部の審査基準には、主に以下の違いがあります。

1)東証一部

・株主数:2,200人以上
・時価総額:40億円以上
・流通株式数:20,000単位以上
・流通株式数比率:上場株式の35%以上

2)東証二部

・株主数:800人以上
・時価総額:20億円以上
・流通株式数:4,000単位以上
・流通株式数比率:上場株式の30%以上

一部上場のメリットとデメリット

東証一部の上場におけるメリットとデメリットには、主に以下などが挙げられます。

1.メリット

1)スピーディな資金調達

一般投資家の投資対象は東証一部が主体になっており、株式における資金の調達が容易になります。

2)ステータスの向上

東証一部にいる企業は一般市民から一流企業と評価されます。東証一部にいることでステータスが向上し、事業におけるアドバンテージを得られます。

2.デメリット

1)手間とコストの負担

審査手数料などの費用が発生し、上場後も毎年上場料などの費用が掛かります。その他、上場維持のための管理体制の構築や、株主総会の開催など、手間とコスト面で大きな負担になります。

2)情報開示の義務

会社の経営状態や事業の業績などに関する情報を全て、株主や投資家に提供しなければなりません。

3)株主からの圧力

多数の株式を持っている株主からの圧力が強くなるため、経営における事業方針の変更を余儀なくされることもあります。

4)買収リスクの存在

株式が自由に売買されるため、敵対的な株主の出現する可能性があります。